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【熟読】社会人10年目までに知っておくべきドラッカー(第1回)

今回取り上げるのは、自己啓発の最高傑作でもある「経営者の条件」です。 

ドラッカー名著集1 経営者の条件

ドラッカー名著集1 経営者の条件

 

日本語訳タイトルを読んで「経営者を目指そうと思っている私にぴったり」と思っているあなた。原題である「The Effective Executive」の意味をしっかり噛み締めて下さい。この本は、経営者のための本ではなく、成果をあげるビジネスマンのための本です。経営者という肩書きにのみ釣られてしまう人にとっては、少し小難しい本でしょう。

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この本では、ビジネスマンのように「どうすれば成果をあげることができるのか?」について記載されています。その1つ1つを読み解き、自分の血肉としていきましょう。

 

 

今回は「時間」についてです。

何事に取り組むにしても、時間が欠かせません。時間を掛けずして、何事かを成すことは不可能と言っていいでしょう。一方で、殆どの人がそのことを気にせずして「やれたら面白い」「できたら良いよね」という計画をまず口にします。

もちろん、それらは社交辞令も多く含まれているでしょうが、多くの人が「そのための時間を作らないとね」とは言いません。

ドラッカーは次のように述べています。

時間はあらゆることで必要となる。時間こそ真に普遍的な制約条件である。(略)しかしほとんどの人が、この代替できない必要不可欠にして特異な資源を当たり前のように扱う。 

 私も、あなたも、隣人も、ザッカーバーグも、誰しも平等に与えられているのが1日24時間1,440分86,400秒という「時間」であり、一方で「何かをやりたい」と考えた時に最も不平等なのも「時間」です。あなたに与えられた時間は、借りたり雇ったりできる人手や、買ったり使ったりできる資材と同じではないからです。

したがって、この制約条件である「時間」から物事を出発させるべきだとドラッカーは強く主張します。

チェックポイント

  • あなたは職場にいて、今日やるべきタスクを洗い出せていますか?そのとき、時間を考慮できていますか?

 

一方で、組織で働くということは、誰かと共に働くということであり、誰かの時間無くして仕事が前に進まないのと同様に、あなた自身の時間が誰かに使われて仕事が前に進むこともあります。

一方で、それが自分には殆ど関係の無い会議への出席だったり、上司のゴルフ接待のお供だったり、得意先からの受注には関係無い無駄口を叩いた電話だったりするわけで、俺の時間を返せと言いたくなります。

ですが、組織とは仕事という横軸と人間関係という縦軸で紡ぎ出される織物であり、摩擦を起こせば組織は動けません。結果的に、いかに人間関係を壊さずに仕事に取り組むかに注力する必要が出てきます。

ドラッカーは次のように述べています。

組織が大きくなるほど、実際に仕える時間は少なくなる。自らの時間がどのように使われているかを知り、自由にできるわずかな時間を管理することがそれだけ重要になる。

だからこそ、今好きなように仕える時間はどれくらいあるかを知ることが大事になるわけです。というわけで、次回は「どうやって知るか?」について読み進めたいと思います。

チェックポイント

  • あなたは誰の時間を無駄に使っていますか?それは本当に必要なことですか?
  • あなたは誰に時間を無駄に使われていますか?それを断ることはできないのですか?

*1:※1:原著では「the executive」という主語で語られている下りが、日本語訳では「エグゼクティブ」「物事をなすべき者」「彼ら」「成果をあげる者」と一貫性に欠けます。そこでエグゼクティブを私はビジネスマンと読み替え、それに当て嵌まらない者をサラリーマンと言うようにします。前者は成果をあげるために働きますが、後者は給料のために働きます