本のソムリエ

あなたに合う本、ここにあります。

【熟読】社会人10年目までに知っておくべきドラッカー(第2回)

今回も、前回の続きである「時間管理」について読み進めて行きたいと思います。今回は特に「どうやって時間を記録するか?」「記録した後はどのようなアクションを取ればいいか?」について読み進めます。

 

 

時間の記録について、自ら記録しても、或いは誰かに頼んでもいいので、とにかく実体として、目に見える形にして残すことをドラッカーは推奨します。

殆どの人が「こんな風に過ごしているつもりは無い」と言いながら、再記録を依頼するでしょうが。すなわち、自分の思っている時間の過ごし方と、実際の作業時間にはまず間違いなく差が出ます。ためしに、あなたも時間記録を付けてみて下さい。

その理由は前回に述べたつもりですが、その対策について何をするべきか、この点をドラッカーは次のように述べています。

 たえず努力をしないかぎり、仕事に流される。したがって次にくる一歩は体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。

時間を管理する。すなわち、指揮者のように時間を差配する。そうでないと、時間を記録した結果の中でいくら整理整頓しようと、舗装されていない道路が汚泥に塗れないよう整備するのと同じように、根本的解決にならないので「部分的対処」に過ぎないわけです。

目に見えているものが全てではありません。管理するということは、今目に見えない本質を浮かび上がらせる作業でもあるのです。

チェックポイント

  • 朝、出社して作った「今日やることリスト」を、帰社前にチェックしてみて下さい。何個、やり終えましたか?

 

さて、ではその排除する作業ですが、ドラッカーは3つあると言っています。

1つ目は「捨てる」ことです。

すべての仕事について、まったくしなかったならば何が起こるかを考える。何も起こらないが答えであるならば、その仕事は直ちにやめるべきである。

誰もが自分の今している仕事は何かのため誰かのためにあると考えますが、はたして慣習となっている仕事は無いでしょうか。

毎朝の朝会、それはなぜ必要なのでしょうか?毎朝の営業MTG、それはなぜ必要なのでしょうか?メールではダメなのでしょうか?ホワイトボードに本日の活動を記録するだけではいけないのでしょうか?

「捨てる」とは、だいぶ前に流行った断捨離と同じで、目の前にある当たり前を疑い、今不要ならば今後の不要だと決めて捨てることを意味しています。

チェックポイント

  • 朝、出社して作った「今日やることリスト」を、帰社前にチェックしてみて下さい。何個、やり終えましたか?

 

2つ目は「任せる」ことです。

と言っても、権限委譲をしなさいという意味ではありません。殆どの意味で使われる権限委譲は、自分のやっている仕事をそろそろ後輩にもやって貰うというニュアンスが含まれていますが、後輩はあなたの助手でもシモベでも無いのですから、それは間違っていると思います。後輩の給料は、後輩がすべき仕事の対価として支払われているのです。

権限委譲とは、あなたが絶対にすべきではない仕事を、それを得意とする人間に任せることを指します。

今まであなたが取り組んでいた仕事のうち、それはあなたでなければ絶対にならないという仕事がいったいどれくらいあり、かつあなたが得意だと言える仕事はいったいどれくらいあるでしょうか?ドラッカーは言います。

成果をあげるべき者が行っている仕事の膨大な部分は、ほかの人間によっても十分行うことができる。(略)自らが行うべき仕事を委譲するのではなく、自らが行うべき仕事に取り組むために他の人にできることを任せることは、成果をあげるうえで必要なことである。

あなたがやらなくても良い仕事にあなた自身が固執するのは、自身の存在価値が薄れてしまうと恐れているのか、或いは新しい仕事に挑戦することに怯えているのかのどちらかでしょうか。それでは時間が経っても今のあなたと同じということになり、どこにも進化が現れないではないですか。

あなたが手を加えることで上がる完成度もあれば、下がる完成度もあります。もし組織に人がいなくてやむなくあなたが携わっているなら、その領域こそ採用すべきポイントになるでしょう。

チェックポイント

  • あなたは、あなたが最も得意だと思える領域に、最も時間を割けていますか?
  • あなたは、自分が得意とは思っていない仕事に時間を割く理由を、合理的に説明することができますか?

 

3つめは「見つける」ことです。 

 とにかく、時間浪費の原因を見つけること。とくに、自分が意識せずして勝手に他人の時間を奪ってしまっている場合はよくある話で、それが「あの人とは一緒に仕事したくない」という評判を生む遠因になる可能性もあります。

そのためにすべきことを、ドラッカーは次のように指摘します。

聞くことである。「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを私は何かしているか」と定期的に聞けばよい。

誰しもが自分は重要であると過大に評価しようとしますし、自分にしかできないと勘違いします。したがって誰しもが恐れるのが、整理であり、排除だと言えます。

 しかし驚くほど多くの人が、時間浪費の原因を見つけても、それを整理することを嫌がります。自分が不要になることを恐れて。

実にバカバカしい話ですが、あなた自身は我が身を振り返ってみて、思い当たる節は無いでしょうか。少なくとも今回の一文をここまで読み終えて「自分に該当する下りは無い」と思ったならば、よほど時間整理の上手な人か、自分の今している仕事の全ては「恐らくきっと誰かの役に立っているに違いない」と思いたい人のどちらかです。

チェックポイント

  • あなたは、周囲に「自分はあなたの仕事の何かを邪魔していないか」と聞けますか?
  • あなたは、記録された今週1週間を振り返って、どの時間の過ごし方が無駄だったと思いますか?また、それは何時間あって、何に充てたいと思いますか?