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【熟読】社会人10年目までに知っておくべきドラッカー(第3回)

今回も、前回の続きである「時間管理」について読み進めて行きたいと思います。前回は時間の使い方の練習をしました。どうすれば間違って時間を無駄に使わずに済むかについて学びました。

今回は自分以外に依るもの、自らがコントロールできない領域にあるもの、すなわちマネジメントや組織構造に端する時間の無駄について読み進めます。

 

 

ドラッカーは、マネジメントや組織構造の間違いに起因して発生する時間のムダを次の4つにまとめました。

 

  1. システムの欠陥や先見性の欠如
  2. 人員過剰
  3. 組織構造の欠陥
  4. 情報不全

 

1つ1つ説明していきましょう。

 

「システムの欠陥や先見性の欠如」について

要は定期的に起こる混乱状態の原因を指しています。年に4回、予算の修正があるのを解っていながら、修正する月になって慌てふためくように様々な資料を用意しているのは「先見性の欠如」に他なりません。何より、年に4回も必要かという議論も必要です。

そのための解決策を、ドラッカーは次のように述べます。

予防するか、事務的に処理できる日常の仕事にルーティン化しなければならない。ルーティン化とは、判断力のない未熟練の人でも天才を必要とする仕事をできるようにすることである。経験から学んだことを体系的かつ段階的なプロセスにまとめることである。

つまり、混乱の原因を「普遍化」という手段を持って裁ち切るのです。

ワイワイ騒いでいるほうが活気が良いと言いますが、何で騒いでいるかを考えたほうが良いかもしれません。それは今日の売上をどうするかに悩んでいるのでしょうか?明日の売上をどうするかに悩んでいるのでしょうか?

前者は今日を生きるのに必死ですが、後者は明日を構築するのに必死です。どちらが混乱していないかは自明でしょう。

チェックポイント

  • あなたの組織は、繁盛期と閑散期を避ける工夫を行えていますか?
  • 何が理由でそんなに忙しいのですか?

 

人員過剰について

要は人が多過ぎてそれに掛かる対策に時間が取られていることを指しています。よくあるのが、「とりあえずあの人も会議に入れておこう」「専門家の意見を聞きたい」という逃げの口上です。

ドラッカーは次のように言います。

小学一年の算数の教科書は、「溝を掘るのに2人で2日かかりました。4人だったら幾日かかりますか」と聞いている。1年生にとっての正解は1日である。現実の世界ではおそらく正解は4日である。

 人が増えるほど、反比例するかのように調整が増えます。

解決策は常時必要としない人はメンバーとして含めないこと。つまり、必要なときだけ依頼すればいいのです。そうして幾日か経って、結局は依頼することなく大半の仕事は終わるでしょう。

チェックポイント

  • 大人数がいるから安心だと勘違いしていませんか
  • 「誰が」仕事を推し進めるか。あなたです。皆が「誰か」と答えた瞬間、その仕事は100人いようが鐚一文たりと前に進みません。

 

組織構造の欠陥について

本来なら組織構造が会議を行う必要無いのですが、不完全だからこそ「会議」が必要となる状況を指しています。そしてシステムの欠陥と人員過剰の対策により「会議」が頻発して、結果的に仕事をするか会議に出るかしかできない多くのビジネスマンは会議に時間を取られ、仕事を停滞させてしまうのです。(会議中に仕事をする人もいるでしょうが)

ドラッカーは次のように述べます。

会議は、そのフォローアップのために、時間のかかる公式、非公式の小会議を生む。会議は、目的をもって方向付けしなければならない。方向付けのない会議は迷惑なだけにとどまらない。

(略)時間の4分の1以上が会議に費やされているならば、組織構造に欠陥があると見てよい。

会議が好きな人がいます。しかし、殆どの会議は事前準備を要し、ストーリーを決める必要があります。ましてや会議であげる意思決定とは、仕事であげる成果に比べれば、その多くが「方向付け」である委以上小さなものでしかありません。

会議という手段をもってでしか他部署の人間と膝詰めで話せない環境になってしまっていることに危機感を抱かなければならないのでしょう。

チェックポイント

  • 1日何時間、会議を開いていますか?
  • 今日の会議で何が決まりましたか?それは会議を開かなければ決まらないものでしたか?

 

情報不全について

会議を繰り返し開いて情報共有をしたとしても、結局起こるのが情報の共有不足です。

そして共有されていないがばかりに無理・ムダ・ムラが発生してしまいます。

 

こうして4つを並べてみると、定期的な混乱が「人がもっと欲しい」という声を呼び、人が増えたために「情報共有が必要だ」と会議が増えたものの、結果的に情報が行き届かずさらに混乱に拍車を掛けるという堂々巡りのていをなしていることがわかります。

どれか1つでも鎖を切れば、この悪循環スパイラルを打ち止めることができるはずですがそうは問屋が卸さないのが世の常でしょうね。